素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 外でこんな事をしていた自分が急に恥ずかしくなって、やっと我に帰ったアリスは慌ててゴトフリーの膝から立ち上がった。

「アリス? どうしたの?」

 その思わぬ行動に眉を顰めたゴトフリーに、アリスはふるふると唇を震わせながら言った。

「わ、私は一回関係したってだけの人に、そういうことを許すような簡単な女じゃないんだから。付き合ってもいないのに勘違いしないで! こんなことばっかりするなら、もう会わない」

 はぁはぁと興奮した様子のアリスの姿にゴトフリーは驚いてから、その後、自分のしてしまったことを悔いるように目を伏せながら言った。

「ごめん、それはちゃんとわかってるよ。でも、アリスが可愛すぎて、我慢が出来なかった。これからは付き合えるまではきちんと我慢するから、もう会わないなんて言わないで欲しい」

 その声を聞きながら、自分が先にキスをしかけたからだと決して責めない彼の誠実なその思いを感じて、また素直になれない自分が嫌で、アリスは涙をこぼした。

 それからの会話はぎこちなかったけれど、最低限のやり取りをして、二人はアレックの背へと乗り込んだ。
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