素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
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 私生活で何があろうが、年度末に向けての仕事の日程は待ってはくれない。

 仕事をしていたら、無心になれるのもある意味有難かった。年度末の前だけは特別に提出書類の期日が早いから窓口業務は一旦閉めて休業だ。そのためいつも書類を提出するという仕事を理由に会っていたゴトフリーに会うこともない。

 机に積まれた山のような書類に埋もれて、アリスの日々は忙殺されていた。

 とにかく、決められた期日前までに仕上げる書類が多すぎて、その日も作業は深夜におよんだ。アリスはある程度の目処がついてから、下着やある程度の身の回りのものが入っている泊まりの荷物を持って仮眠室へと向かった。

(はー、大浴場でお風呂入るのはたまになら楽しいけど、毎日だと飽きちゃう。それに備え付けの石鹸あんまり質が良くないんだよね)
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