素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「ゴトフリーの、例の子です」
含みのある言い方をするブレンダンに、面白くなさそうにチッと舌を鳴らした。
「どいつもこいつも、上司の俺を差し置いて色気づきやがって」
「団長がその気になったら、この国中の女性を一人占め出来るので勘弁してくださいよ」
ブレンダンは冗談めかしてそう言ったが、本当にその言葉も叶えられそうなほどの容貌だった。うるさげに片手を振ると、団長と呼ばれた人は、こちらにゆっくりと近づいてきた。
「数なんか要らないんだよ、本当に欲しいと思える一人が振り向いてくれたら俺はそれで良い」
そうして呆然と座ったままだったアリスの前に跪き、ふっと笑いながら聞いてくれた。
「それでゴトフリーの意中の人は、なんでこんな待合室で泣いてるんだ?」
きらめく宝石を嵌め込んだような紫の瞳は、優しくて、魔法をかけられたように、アリスはぽつりと声を出した。
「……彼の病室に、入れなくて」
団長は信じられないことを聞いたと言わんばかりに、その形の良い片眉を上げて息を吐いた。
含みのある言い方をするブレンダンに、面白くなさそうにチッと舌を鳴らした。
「どいつもこいつも、上司の俺を差し置いて色気づきやがって」
「団長がその気になったら、この国中の女性を一人占め出来るので勘弁してくださいよ」
ブレンダンは冗談めかしてそう言ったが、本当にその言葉も叶えられそうなほどの容貌だった。うるさげに片手を振ると、団長と呼ばれた人は、こちらにゆっくりと近づいてきた。
「数なんか要らないんだよ、本当に欲しいと思える一人が振り向いてくれたら俺はそれで良い」
そうして呆然と座ったままだったアリスの前に跪き、ふっと笑いながら聞いてくれた。
「それでゴトフリーの意中の人は、なんでこんな待合室で泣いてるんだ?」
きらめく宝石を嵌め込んだような紫の瞳は、優しくて、魔法をかけられたように、アリスはぽつりと声を出した。
「……彼の病室に、入れなくて」
団長は信じられないことを聞いたと言わんばかりに、その形の良い片眉を上げて息を吐いた。