殺すように、愛して。
 一度喋り出すと止まらなくなり、次から次へと流してしまった台詞は支離滅裂だった。ネガティブな言葉ばかりだった。言い聞かせるような言葉ばかりだった。頬をヒクつかせ、無理して笑おうとしている自分がおかしくて仕方がなかった。悪いのは、悪いのは、悪いのは、そればかり。俺が悪くて、俺が悪い。俺がオメガだから、俺が悪い。オメガのせいにしている俺も、悪い。オメガを理由に諦めているだけ。それをダラダラと垂れ流した自分の言葉で自覚させられ、ますます虚しくなって悲しくなって情けなくなった。

 自分が何を必死に取り繕っているのかも理解不能なまま、この、首輪、に、触れていた手が小刻みに震えていることに気づいて。サッと隠すように手を下ろし、制服の裾を触るふりをして誤魔化した。気づいているだろうが、彼らには何も言われなかった。言われなかったが、鳴海、と傷がつかないように恐る恐るといった様子で俺を呼ぶその声に煽られ、彼らに目を向ければ、黛に直談判は難しいけど、鳴海の話なら聞いてあげられる、と複雑な俺の心中を察したのか、また、気を遣ってくれた。遣わせてしまった。悪循環だった。何をしても何を言っても、互いの顔色を窺ってばかり。気を配って。慮って。上手くいかない。一体何のための対話なのか、完全に目的を見失ってしまった。そう思っても、軌道の修正はできなかった。口を開けば開くほど、ボロが出るよう。
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