殺すように、愛して。
由良は、我慢している。俺を兄だと思って、我慢している。禁忌を犯してはダメだと言い聞かせているのだ。その証拠に、由良は、ついた尻を引きずるようにして後退り、俺から距離を取ろうとしていた。でも、目は、俺を見ている。押せば落ちると思った。由良を使って、利用して、黛の目を俺に向けさせられると思った。黛、黛、ずっと、俺を、放置、するから、相手、してくれないから、俺、いつも一番近くにいてくれる由良を、弟じゃなくて、アルファだと思って、誘ってしまう。浮気、不倫、している、みたいだ。
背徳感が背中を押す。後退る由良に近づき、唇との距離を詰める。それが触れ合えば、俺は由良を道連れに落ちていくだろう。由良の緊張の糸も、切れてしまうかもしれない。兄弟だとかどうでもよくなって、アルファがオメガを犯すように、オメガがアルファを欲するように、貪りあってしまうかもしれない。由良がずっと押さえつけてくれていたものを、俺が壊して炙り出すような行為に、ああ、どうしてか、興奮した。壊れてしまうことに、酷く、興奮した。
由良からは、密かに、兄として慕ってくれていると感じるその裏で、僅かに、恋情に似たようなものを感じていた。でも、兄弟だから。それを理由に、見て見ぬふりをしていた。気のせいだと思ってスルーしていた。考えないようにしていた。由良も、きっと、そういうことにしていたのではないか。自分で自分の気持ちに蓋をして、気づかないようにして、気づかれないようにして、弟として俺に接してくれていたのではないか。理性と本能の狭間で揺れる彼の濡れた瞳が、それを物語っている。
背徳感が背中を押す。後退る由良に近づき、唇との距離を詰める。それが触れ合えば、俺は由良を道連れに落ちていくだろう。由良の緊張の糸も、切れてしまうかもしれない。兄弟だとかどうでもよくなって、アルファがオメガを犯すように、オメガがアルファを欲するように、貪りあってしまうかもしれない。由良がずっと押さえつけてくれていたものを、俺が壊して炙り出すような行為に、ああ、どうしてか、興奮した。壊れてしまうことに、酷く、興奮した。
由良からは、密かに、兄として慕ってくれていると感じるその裏で、僅かに、恋情に似たようなものを感じていた。でも、兄弟だから。それを理由に、見て見ぬふりをしていた。気のせいだと思ってスルーしていた。考えないようにしていた。由良も、きっと、そういうことにしていたのではないか。自分で自分の気持ちに蓋をして、気づかないようにして、気づかれないようにして、弟として俺に接してくれていたのではないか。理性と本能の狭間で揺れる彼の濡れた瞳が、それを物語っている。