殺すように、愛して。
商品を物色しているその後ろを邪魔にならないように通り過ぎ、店員のいるレジへ直行する。商品を渡すと、ありがとうございます、と慣れた手つきで素早くバーコードを読み取り、合計金額を伝えてくれる女性店員は、いつ来ても明るくて、好印象を与えるような愛想のいい対応をする人だった。きっと接客業界の中でも優秀な人なんだろうな、とどうでもいいことを考えてしまうくらいには少しだけ心に余裕ができた俺は、カバンを抱きかかえたまま財布の中の小銭を掻き集めて。まとめてトレイに置いた。ちょうどだった。ちょうどあった。それを受け取った店員から手渡されたレシートを心なしか軽くなった財布に突っ込み、店のテープの貼られた商品のうち菓子パン一つを一緒にカバンに入れる。残りはそのまま手に取った。有料となったレジ袋の有無は問われなかったが、不要な客だと覚えてくれているらしい。客の顔を覚えることも、接客業をする上で大切なことの一つなのかもしれない。
ありがとうございましたー、とやっぱりワントーン高い声を背中で聞きながらコンビニを後にして、駐車場の邪魔にならない隅の方へ移動した。抱きかかえていたカバンの持ち手に腕を通し、買ったばかりの菓子パンの包装を解く。立ち食いをするのは行儀が悪いが、他にちょうどいい場所も見つからないため、毎回ここでこっそり栄養の偏った朝食を摂らせてもらっていた。喉や胃が嫌がって食を一切受け付けない日もあるが、今日はどちらも機嫌が良さそうだ。不安が完全に払拭されたわけではないものの、発情期中に張っていた緊張の糸が緩んだのは確かだった。
ありがとうございましたー、とやっぱりワントーン高い声を背中で聞きながらコンビニを後にして、駐車場の邪魔にならない隅の方へ移動した。抱きかかえていたカバンの持ち手に腕を通し、買ったばかりの菓子パンの包装を解く。立ち食いをするのは行儀が悪いが、他にちょうどいい場所も見つからないため、毎回ここでこっそり栄養の偏った朝食を摂らせてもらっていた。喉や胃が嫌がって食を一切受け付けない日もあるが、今日はどちらも機嫌が良さそうだ。不安が完全に払拭されたわけではないものの、発情期中に張っていた緊張の糸が緩んだのは確かだった。