愛があなたを見捨てたとしても
「今日の夕飯、何だったっけ…」
更衣室で高校の制服に着替えたわたしは、重たい荷物を背負いながらぽつりと呟いた。
学校に行く前に母に尋ねた気がするけれど、何の返答もなかったような。
でも、大抵何かしらの作り置きがあるから、今日も温かいご飯を食べられるはず。
「…駄目だ、お腹空いて倒れそう」
自分のお腹に手を当てれば、ゴロゴロと雷の如く大きな音で胃が食べ物を求めているのが伝わる。
取り敢えず、早く家に帰ろう。
宿題も家事も二の次だ。
そんな事を考えながらお店の自動ドアをくぐり、折り畳み傘を開こうとしたわたしは、
「うわっ、」
突如として目の前に現れた黒い物体に驚き、慌てて口を押さえた。
あたかも何事も無かったかのように後退りをし、斜め後ろからその物体が何かを確認する。
周りが闇に覆われているせいで識別出来なかったけれど、どうやらその物体は“人”のようだった。
“ようだった”なんて言っているけれど、これは人だ、間違いない。
11月に着るには少し寒そうな黒いジャージ、頭には灰色のキャップを被り、手には購入したばかりの食べ物が入った袋を提げている。
明らかに、あの“ハンバーガー男”だった。
更衣室で高校の制服に着替えたわたしは、重たい荷物を背負いながらぽつりと呟いた。
学校に行く前に母に尋ねた気がするけれど、何の返答もなかったような。
でも、大抵何かしらの作り置きがあるから、今日も温かいご飯を食べられるはず。
「…駄目だ、お腹空いて倒れそう」
自分のお腹に手を当てれば、ゴロゴロと雷の如く大きな音で胃が食べ物を求めているのが伝わる。
取り敢えず、早く家に帰ろう。
宿題も家事も二の次だ。
そんな事を考えながらお店の自動ドアをくぐり、折り畳み傘を開こうとしたわたしは、
「うわっ、」
突如として目の前に現れた黒い物体に驚き、慌てて口を押さえた。
あたかも何事も無かったかのように後退りをし、斜め後ろからその物体が何かを確認する。
周りが闇に覆われているせいで識別出来なかったけれど、どうやらその物体は“人”のようだった。
“ようだった”なんて言っているけれど、これは人だ、間違いない。
11月に着るには少し寒そうな黒いジャージ、頭には灰色のキャップを被り、手には購入したばかりの食べ物が入った袋を提げている。
明らかに、あの“ハンバーガー男”だった。