ドラマティック トレイン ~ 運命の出会いは通学中に起きる
出発から1時間くらい経つと高速道路を下りクネクネと山道を進んだ。山奥にあるバーベキュー場の側には川が流れており、水の流れる音と木漏れ日が揺れる音が心地よい所だった。
「ほら、足下気をつけろよー!」
先に車から降りた葵くんが手を出しながら言ってきた。普段、文句を垂れるか人を馬鹿にすることにしか使われない口から珍しく気を使う言葉が出てきたことに一瞬戸惑う。
「葵くんに言われなくてもちゃんと気をつけるから大丈夫よっ!」
出された手を『ペチンっ!』と軽く叩いて拒否した。しかし、マイクロバスの階段に滑って後ろにひっくり返りそうになってしまった。
「きゃっ!」
「奈々ちゃん!危ない!」
丁度後ろにいた磐田くんが咄嗟に支えてくれたのでことなきを得る。
「磐田くん、ごめん!ありがとう。」
「足、挫いてない?大丈夫??」
「うん、大丈夫。磐田くんのおかげでどこも痛くないよ。」
「ほら見ろ。だから気を付けろって言ったじゃねーか!」
葵くんは磐田くんを背にして寄りかかっている状態の私を見ると『ちっ』と小さく舌打ちをした。そして私の腕をグイッと力強く引っ張って引き起こす形で車から降ろすと、
「ドジ奈々。」
と眉間にしわを寄せながら小声で言って軽く頭をポンと載せるように叩いた。
「奈々ってば平気?」
「大丈夫かい?ドジっ子(笑)」
車内から先ほどの様子を見てたのか後から降りてきた真美ちゃんとタケッちが心配してくれたので手でOKマークを作って大丈夫だとサインを送った。
「二人も降りるときは気を付けて~。」
車のステップ部分で転んだので磐田くんが支えてくれなかったら、角の部分で痣の一つくらいはできていたかもしれない。
「奈々ちゃん、砂利でまた転ぶと危ないから一緒に行こう。」
そう言うと、磐田くんはスッと私の手を取って自分の指を絡めて手を繋いだ。
…えっ!
驚いて磐田くんの顔を見ると俯いているが耳まで赤くなっているのがわかる。そして、それが移ったかの様に私の耳も熱くなった。
…なんで手を繋いで赤くなってるの??
もしかして…私の事…。いや、磐田くんはもともと泣いてる私を心配して声を掛けてくれたぐらい優しいから、さっき転んじゃったから危なっかしく思って手を繋いだだけかも…。
自分の気持ちに気づいたせいか磐田くんの気持ちがとても気になる。
「葵は2人のレディを宜しくー。」
手を繋いだまま後ろを振り向かずにそう言い放つとそのまま歩きだした。
「はっ!お前ズルっ!」
「じゃあ…、はい、葵くん、宜しく♡」
真美ちゃんはプリンセスがエスコートされる時のように葵くんの方へ手を出した。
葵くんは、ふか〜く項垂れるように、ため息をひとつすると真美ちゃんの手を取ってタケッちをチラリと見る。
「あ、私はそーゆーの要らないから。」
そう言ってタケッちは車からさっさと降りると2人を置いて歩き始めた。
「なんだよ…。耕史のやつ…。車ん中では色々と話が合うから仲良くなれると思ったのに、女の好みまで同じかよ…。」
「えっ?何か言った?」
ボソッと呟いた声は真美ちゃんには聞こえておらず、真美ちゃんが車から降りると、葵くんは真美ちゃんの手を放して足早に歩きだし私たちに追いつこうとしていた。
「女の子達は食材のカットを宜しくー!男は火おこしと荷物運びなーっ!」
駐車場から少し離れた焼き場で本日の幹事が声を張り上げて指示を出していた。
「ほら、足下気をつけろよー!」
先に車から降りた葵くんが手を出しながら言ってきた。普段、文句を垂れるか人を馬鹿にすることにしか使われない口から珍しく気を使う言葉が出てきたことに一瞬戸惑う。
「葵くんに言われなくてもちゃんと気をつけるから大丈夫よっ!」
出された手を『ペチンっ!』と軽く叩いて拒否した。しかし、マイクロバスの階段に滑って後ろにひっくり返りそうになってしまった。
「きゃっ!」
「奈々ちゃん!危ない!」
丁度後ろにいた磐田くんが咄嗟に支えてくれたのでことなきを得る。
「磐田くん、ごめん!ありがとう。」
「足、挫いてない?大丈夫??」
「うん、大丈夫。磐田くんのおかげでどこも痛くないよ。」
「ほら見ろ。だから気を付けろって言ったじゃねーか!」
葵くんは磐田くんを背にして寄りかかっている状態の私を見ると『ちっ』と小さく舌打ちをした。そして私の腕をグイッと力強く引っ張って引き起こす形で車から降ろすと、
「ドジ奈々。」
と眉間にしわを寄せながら小声で言って軽く頭をポンと載せるように叩いた。
「奈々ってば平気?」
「大丈夫かい?ドジっ子(笑)」
車内から先ほどの様子を見てたのか後から降りてきた真美ちゃんとタケッちが心配してくれたので手でOKマークを作って大丈夫だとサインを送った。
「二人も降りるときは気を付けて~。」
車のステップ部分で転んだので磐田くんが支えてくれなかったら、角の部分で痣の一つくらいはできていたかもしれない。
「奈々ちゃん、砂利でまた転ぶと危ないから一緒に行こう。」
そう言うと、磐田くんはスッと私の手を取って自分の指を絡めて手を繋いだ。
…えっ!
驚いて磐田くんの顔を見ると俯いているが耳まで赤くなっているのがわかる。そして、それが移ったかの様に私の耳も熱くなった。
…なんで手を繋いで赤くなってるの??
もしかして…私の事…。いや、磐田くんはもともと泣いてる私を心配して声を掛けてくれたぐらい優しいから、さっき転んじゃったから危なっかしく思って手を繋いだだけかも…。
自分の気持ちに気づいたせいか磐田くんの気持ちがとても気になる。
「葵は2人のレディを宜しくー。」
手を繋いだまま後ろを振り向かずにそう言い放つとそのまま歩きだした。
「はっ!お前ズルっ!」
「じゃあ…、はい、葵くん、宜しく♡」
真美ちゃんはプリンセスがエスコートされる時のように葵くんの方へ手を出した。
葵くんは、ふか〜く項垂れるように、ため息をひとつすると真美ちゃんの手を取ってタケッちをチラリと見る。
「あ、私はそーゆーの要らないから。」
そう言ってタケッちは車からさっさと降りると2人を置いて歩き始めた。
「なんだよ…。耕史のやつ…。車ん中では色々と話が合うから仲良くなれると思ったのに、女の好みまで同じかよ…。」
「えっ?何か言った?」
ボソッと呟いた声は真美ちゃんには聞こえておらず、真美ちゃんが車から降りると、葵くんは真美ちゃんの手を放して足早に歩きだし私たちに追いつこうとしていた。
「女の子達は食材のカットを宜しくー!男は火おこしと荷物運びなーっ!」
駐車場から少し離れた焼き場で本日の幹事が声を張り上げて指示を出していた。