ドラマティック トレイン ~ 運命の出会いは通学中に起きる
6.転入生
♪キーンコーンカーンコーン
ホームルームの開始を知らせるチャイムが校内を響きわたせていた。チャイムの音が鳴り終わると直ぐに教室の前の扉が開いて担任の先生とその後ろを男子生徒が入って来た。
アレって…。まじかよ…。
担任の後から入って来たのは、こないだ奈々ちゃんに誘われて行ったバーベキューで知り合った葵だった。
そーいや、うちの学校に編入が決まってるって言ってたなぁ。
まさか同じクラスになるなんて考えもしていなかった。あの日はトイレから戻って来たら奈々ちゃんが見当たらなくて、彼女の友達と話をしていたら葵までいなくなって…。どこに行ったんだろうと思っていたら、二人とも全身ずぶ濡れで戻って来たのだ。奈々ちゃんに何があったのか尋ねても、ずぶ濡れになってしまったことが恥ずかしいのか顔を赤らめて川に落ちた事実以外の説明はなく、何故、落ちることになったのかまでは教えてくれなかった。葵は葵で『お前には教えねぇ。お前に奈々はやらねぇ。』とだけ言い残しタオルを取りに車へと歩いて行ったので、葵からも詳しい話は聞き出せなかった。ただ、帰りの車では行きと違って奈々ちゃんは通路側には座らず窓側に行きたいと言って葵を避けるように俺と席を変わったので葵はムスッとしていた。
きっと葵のあの言葉は俺への牽制だ。
ずっと電車内で遠くから見てるだけの存在だった彼女。やっと連絡先を交換する機会が巡って来て、バーベキューまで一緒に行くことができこれからどんどん仲良くなって行けたらと考えていただけに葵の存在はだいぶ誤算だった。
「おーい、磐田。話聞いてるのか?」
突然、担任の口から自分の名前が発せられて慌てて返事をした。
「あ…。はい、ちゃんと聞いてます。」
ふと葵の横を見ると黒板に葵の名前がフルネームで書かれていた。
どうやら葵の紹介をしている最中のようだった。女子生徒は彼の見栄えと帰国子女というオプションに心をときめかせていた。
突然の葵の登場に動揺している俺の様子を見た葵はニヤリと口角を上げる。
「先生、彼とは知り合いなんで、同じクラスになってビックリしてただけだと思います。」
「なんだ、二人とも知り合いなのか。だったら席は近いほうがいいな。磐田の後ろに机を新しく置くか。」
そう言うと、担任は男子生徒数名に指示をだし、葵の席を作るとカバンを持って俺の横を通って席に座った。
「まさか同じクラスになるとはなっ!お前、頭いいってホントなんだな。」
元々の性格なのだろうか。奈々ちゃんのことで俺に牽制してきたくせに普通に話しかけてきた。うちの学校は成績順にクラスが分けらており、おれはトップクラスにいた。そして、このクラスにやってきた葵もなかなか賢いのだろう。成績を落とさないように毎日自宅で勉強をしているのに葵は難なく編入してきてしかも奈々ちゃんともサラッと出会えて、なんだか葵の存在がムカついてきた。
「そのクラスに入ってきた葵もだろ。」
イライラしてきたせいか冷たく答えてしまった。
ホームルームの開始を知らせるチャイムが校内を響きわたせていた。チャイムの音が鳴り終わると直ぐに教室の前の扉が開いて担任の先生とその後ろを男子生徒が入って来た。
アレって…。まじかよ…。
担任の後から入って来たのは、こないだ奈々ちゃんに誘われて行ったバーベキューで知り合った葵だった。
そーいや、うちの学校に編入が決まってるって言ってたなぁ。
まさか同じクラスになるなんて考えもしていなかった。あの日はトイレから戻って来たら奈々ちゃんが見当たらなくて、彼女の友達と話をしていたら葵までいなくなって…。どこに行ったんだろうと思っていたら、二人とも全身ずぶ濡れで戻って来たのだ。奈々ちゃんに何があったのか尋ねても、ずぶ濡れになってしまったことが恥ずかしいのか顔を赤らめて川に落ちた事実以外の説明はなく、何故、落ちることになったのかまでは教えてくれなかった。葵は葵で『お前には教えねぇ。お前に奈々はやらねぇ。』とだけ言い残しタオルを取りに車へと歩いて行ったので、葵からも詳しい話は聞き出せなかった。ただ、帰りの車では行きと違って奈々ちゃんは通路側には座らず窓側に行きたいと言って葵を避けるように俺と席を変わったので葵はムスッとしていた。
きっと葵のあの言葉は俺への牽制だ。
ずっと電車内で遠くから見てるだけの存在だった彼女。やっと連絡先を交換する機会が巡って来て、バーベキューまで一緒に行くことができこれからどんどん仲良くなって行けたらと考えていただけに葵の存在はだいぶ誤算だった。
「おーい、磐田。話聞いてるのか?」
突然、担任の口から自分の名前が発せられて慌てて返事をした。
「あ…。はい、ちゃんと聞いてます。」
ふと葵の横を見ると黒板に葵の名前がフルネームで書かれていた。
どうやら葵の紹介をしている最中のようだった。女子生徒は彼の見栄えと帰国子女というオプションに心をときめかせていた。
突然の葵の登場に動揺している俺の様子を見た葵はニヤリと口角を上げる。
「先生、彼とは知り合いなんで、同じクラスになってビックリしてただけだと思います。」
「なんだ、二人とも知り合いなのか。だったら席は近いほうがいいな。磐田の後ろに机を新しく置くか。」
そう言うと、担任は男子生徒数名に指示をだし、葵の席を作るとカバンを持って俺の横を通って席に座った。
「まさか同じクラスになるとはなっ!お前、頭いいってホントなんだな。」
元々の性格なのだろうか。奈々ちゃんのことで俺に牽制してきたくせに普通に話しかけてきた。うちの学校は成績順にクラスが分けらており、おれはトップクラスにいた。そして、このクラスにやってきた葵もなかなか賢いのだろう。成績を落とさないように毎日自宅で勉強をしているのに葵は難なく編入してきてしかも奈々ちゃんともサラッと出会えて、なんだか葵の存在がムカついてきた。
「そのクラスに入ってきた葵もだろ。」
イライラしてきたせいか冷たく答えてしまった。