ドラマティック トレイン ~ 運命の出会いは通学中に起きる
9.ランチビュッフェ
『♪ポーーン』
エレベーターで最上階に到着すると柔らかな電子音が鳴った。そして扉が開くと正面に見えたのは全面ガラス張りで先ほどまで見上げていた高層ビル群が真下におもちゃの様に並べてあった。
「ホテルの最上階でランチなんて初めてなんだけど…。陰キャにはこの場所は派手過ぎる…。」
タケっちが少しひよった声で呟いた。
「そんなこと言わないで今日は楽しも!せっかくチケットもらったんだし!真美ちゃんの分もたくさん食べちゃお♥」
実は、姉の彼氏の職場でビンゴ大会というなの飲み会があり、景品として自分が勤めるホテルのランチビュッフェのお食事券を4枚もらったそうなのだが、休みの日まで職場に行きたくないというので『弥椰の家族で行きなよ』と姉がもらい受けた。しかし、私以外都合が悪く期限までに使い切れないというので『奈々の友達を誘っていけば?』と最終的に私にお食事券が回ってきたのだ。我が家のリビングに入りびたりでその場にいた葵が一緒に行くと言い出し、残り二名は真美ちゃんとタケっちに声を掛けたのだが、真美ちゃんは既に彼氏と予定があるようで葵が磐田くんを誘い、最終的にこの四人で高級ホテルの最上階にある展望レストランに来ることになった。
「高校生だけでこのホテルのランチビュッフェってかなりVIPだよな…。」
「無料でうまい料理食えるんだから、ラッキーってことででいいっしょ!ビュッフェスタイルなんだからマナーとかそんな気にすることなくね?」
何となく緊張している様子の磐田くんとは真逆で葵は相変わらず楽観的に話をする。二人とも高級ホテルに来るということでそれなりに小綺麗な恰好をしており、ジャンルは真逆だが端正な顔立ちの二人が並んで立つと女性の視線が自然と集まった。さらにスレンダー体系のボーイッシュ女子のタケッちがそこに入るとモデルが雑誌の撮影に集まった雰囲気が出ていた。
…なんとなく疎外感。
「奈々ちゃん!待ってたよー。」
姉の彼氏がエレベーターホールまで迎えに来てくれた。
「チケットありがとうございました。」
お礼を言うと姉の彼氏はレストランの担当者に私たちを引き継いだ。姉の彼氏は他のスタッフと服装が違うのとスタッフの接し方で立場の偉い人なのだと感じた。そしてレストランのウェイターに案内されたテーブル席は窓側で展望レストランというくらいなのではるか遠くまで見通せた。
「奈々、こっち。」
葵くんが景色が良く見えそうな席の椅子をひいて私を呼んだ。
「ありがと…。」
私が椅子に座ると葵くんはすぐに隣の席に腰を掛けた。
あの日、キスをされてから揶揄うような言動はなく、その話題に触れることもなく、ただひたすら優しい葵くんだった。きっと私が変に意識をしない様に気を使ってくれているのだと分かる。翌日おもいっきり葵くんを避けて朝早く登校したのが堪えたようで、夕方、私の部屋にきて『顔も観たくない!』と言って追い返そうとしたら、ドアの外から『避けるのだけは勘弁してくれ…。』と泣きそうな声で言われた。いつも強気で強引な彼のそんな弱々しい声を初めてきいたので私も焦ってしまい、つい部屋のドアを開け、とりあえず、今まで通り幼なじみの関係で今はいたいと告げた。
私の真向かいの席には磐田くん、その隣にタケッちがすわった。
「夜に来たらまるでプロポーズとかされてそうな場所だね。夜景が綺麗そう。」
「タケッちの言う通り!こんな場所で夜景を見ながらプロポーズされたら素敵だろうなぁ~…。」
会話の流れでぽろっと出た言葉に男子二人が反応していたことにはまったく私は気づかなかったが、タケっちは気づいたようで『鈍感って罪』っと心の中で思ったようだった。
エレベーターで最上階に到着すると柔らかな電子音が鳴った。そして扉が開くと正面に見えたのは全面ガラス張りで先ほどまで見上げていた高層ビル群が真下におもちゃの様に並べてあった。
「ホテルの最上階でランチなんて初めてなんだけど…。陰キャにはこの場所は派手過ぎる…。」
タケっちが少しひよった声で呟いた。
「そんなこと言わないで今日は楽しも!せっかくチケットもらったんだし!真美ちゃんの分もたくさん食べちゃお♥」
実は、姉の彼氏の職場でビンゴ大会というなの飲み会があり、景品として自分が勤めるホテルのランチビュッフェのお食事券を4枚もらったそうなのだが、休みの日まで職場に行きたくないというので『弥椰の家族で行きなよ』と姉がもらい受けた。しかし、私以外都合が悪く期限までに使い切れないというので『奈々の友達を誘っていけば?』と最終的に私にお食事券が回ってきたのだ。我が家のリビングに入りびたりでその場にいた葵が一緒に行くと言い出し、残り二名は真美ちゃんとタケっちに声を掛けたのだが、真美ちゃんは既に彼氏と予定があるようで葵が磐田くんを誘い、最終的にこの四人で高級ホテルの最上階にある展望レストランに来ることになった。
「高校生だけでこのホテルのランチビュッフェってかなりVIPだよな…。」
「無料でうまい料理食えるんだから、ラッキーってことででいいっしょ!ビュッフェスタイルなんだからマナーとかそんな気にすることなくね?」
何となく緊張している様子の磐田くんとは真逆で葵は相変わらず楽観的に話をする。二人とも高級ホテルに来るということでそれなりに小綺麗な恰好をしており、ジャンルは真逆だが端正な顔立ちの二人が並んで立つと女性の視線が自然と集まった。さらにスレンダー体系のボーイッシュ女子のタケッちがそこに入るとモデルが雑誌の撮影に集まった雰囲気が出ていた。
…なんとなく疎外感。
「奈々ちゃん!待ってたよー。」
姉の彼氏がエレベーターホールまで迎えに来てくれた。
「チケットありがとうございました。」
お礼を言うと姉の彼氏はレストランの担当者に私たちを引き継いだ。姉の彼氏は他のスタッフと服装が違うのとスタッフの接し方で立場の偉い人なのだと感じた。そしてレストランのウェイターに案内されたテーブル席は窓側で展望レストランというくらいなのではるか遠くまで見通せた。
「奈々、こっち。」
葵くんが景色が良く見えそうな席の椅子をひいて私を呼んだ。
「ありがと…。」
私が椅子に座ると葵くんはすぐに隣の席に腰を掛けた。
あの日、キスをされてから揶揄うような言動はなく、その話題に触れることもなく、ただひたすら優しい葵くんだった。きっと私が変に意識をしない様に気を使ってくれているのだと分かる。翌日おもいっきり葵くんを避けて朝早く登校したのが堪えたようで、夕方、私の部屋にきて『顔も観たくない!』と言って追い返そうとしたら、ドアの外から『避けるのだけは勘弁してくれ…。』と泣きそうな声で言われた。いつも強気で強引な彼のそんな弱々しい声を初めてきいたので私も焦ってしまい、つい部屋のドアを開け、とりあえず、今まで通り幼なじみの関係で今はいたいと告げた。
私の真向かいの席には磐田くん、その隣にタケッちがすわった。
「夜に来たらまるでプロポーズとかされてそうな場所だね。夜景が綺麗そう。」
「タケッちの言う通り!こんな場所で夜景を見ながらプロポーズされたら素敵だろうなぁ~…。」
会話の流れでぽろっと出た言葉に男子二人が反応していたことにはまったく私は気づかなかったが、タケっちは気づいたようで『鈍感って罪』っと心の中で思ったようだった。