強烈な旦那様♡おバカなカメ
後日。
李範は、ビジネスホテルにいた。

仕事の関係で、ホテルに一泊することにした李範。
しかし本当は、泊まりがけじゃなくても自宅マンションから通える。

でも、正直……夏菜と顔を会わせるのが辛いのだ。

生見と話してから、夏菜と純香が重なりとても苦しく胸が痛むようになった。

このままでは、夏菜に酷いことを言ってしまいそうで、逃げてきたのだ。


ベッドに仰向けになり、天井をただ見つめている李範。
テーブルに置いているスマホが震えた。

画面に“和貞”の文字。

「和貞?
もしも━━━━」
『李範!!』
李範が出てすぐに、声を荒らげてきた和貞。

「あ?なんだよ」

『お前、あんないい嫁さんを傷つけてんじゃねぇよ!!?』

「は?カメ?」


『…………夏菜ちゃん今日、俺ん家に泊めるから』



━━━━━━和貞の住むマンション。
オートロックのチャイムが、間髪いれずに何度も鳴っている。

「なんだよ、李範」
インターフォンの通話ボタンを押す。

『カメを返せよ』

「やだ」
『あ?
和貞、殺すぞ』

「嫁さんを傷つける奴に言われたくねぇよ」

ガン!!と、李範が壁を殴った。

『夏菜は、俺の……俺だけのモンなんだよ……
返せよ……』
苦しく、もがくように呟く。

ゆっくり、オートロックの自動ドアが開いた。

「……………
そんなとこにいられたら、邪魔。
とにかく、入れよ」
和貞に言われ、項垂れるように李範は入った。


「━━━━━夏菜ちゃんは、今、寝てるから。
まぁ、座れや」
カウンターに、コーヒーの入ったマグカップを置き言った和貞。

「いや、連れて帰る。
寝室、何処?」
見据える李範に、和貞はため息をつき言った。

「……………やっと、寝たんだよ。
起こしてやるなよ。
心配せんでも、お前の女を傷つけるようなことはしてねぇよ」

「………」

「とにかく、座れ」
カウンターを顎で指す。

李範が息を吐き、椅子に腰かけた。
換気扇をつけ、和貞が煙草を吸い出した。


「和貞」
「ん?」

「そもそも、なんでカメがここに?」

「………駅前のコンビニあんじゃん」
「うん」

「その前で泣きながら、うずくまってたんだ」

「え……」

信じられない思いで、李範が和貞を見ていた。
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