強烈な旦那様♡おバカなカメ
五時間前━━━━━━━

和貞は、仕事終わりに駅前のコンビニに寄り、弁当と酒を買って帰ろうとしていた。

コンビニ前に、小さな女性がうずくまって泣いているのを見つける。
なんとなく、ほおっておくことができなくて、声をかけた。

「大丈夫?」

そして見上げた女性を見て、和貞は固まった。

「夏菜…ちゃん…?」
「あ…和貞さん……」

「どうした!!?李範は!!?」
思わず、声を荒らげる。

夏菜は首を横に振り、また泣き出した。

「家に送るから、立てる?」

首を横に振り「大丈夫です」と言う、夏菜。

「でも、ほっとけないし。
じゃあ、李範に電話━━━━━」
「やめてください!!」
弾けるように和貞を見て、言い放った。

「え?
李範と喧嘩したの?」

「喧嘩?喧嘩……してない…と思います…」
「ん?どうゆう意味?」


「……………わからないんです。
りーくんが、何で私を避けてるのか。
私の、何がいけないのか……」


━━━━━━━━
━━━━━━━━
━━━━………………

「━━━━━夏菜ちゃん。
どうしていいかわからなくて、李範の泊まってるホテルに行こうとしたらしい。
でも駅まで来て、もし…怒られたらどうしようとか、これ以上嫌われたらって考えて、足がすくんで動けなくなったって」

「そうか…」

「李範、お前さぁ。
夏菜ちゃんのこと、スッゲー大切にしてたじゃん!
夏菜ちゃんの一言で、タトゥー入れるくらいに。
どうしたんだよ!?」

李範は生見と話したことを、和貞に話す。

「………わからなくなったんだ。
俺は、カメのどこに惚れたんだろう。
なんで、結婚したんだろうって。
純香に似てても、カメと純香は違うって思ってた。
胸を張って、カメを愛してるって。
でも、生見さんの言葉で心が動揺したんだ。
カメと向き合うのが、急に怖くなった」

「…………答えは、もう出てると思うが」
黙って聞いていた和貞が、静かに言った。

「は?」

「李範。ここに来る時、お前どんな気持ちだった?」

「え?」

「俺から、夏菜ちゃんと一緒にいることを聞かされて、ただ…夏菜ちゃんを連れて帰るってその気持ちだけだったんじゃねぇの?」

「和貞…」

「そこに、今言ってたような複雑な気持ちなんかなかったろ?
ただ“俺から夏菜ちゃんを返してもらう”って、それだけの気持ちだったんじゃねぇのかよ!?」
< 31 / 45 >

この作品をシェア

pagetop