強烈な旦那様♡おバカなカメ
「━━━━━帰れよ、李範」


「和貞…」

「今のお前に、夏菜ちゃんを返せねぇよ。
また、傷つけるだけ」
見据えてくる和貞。
和貞の表情(かお)は、切なく歪んでいた。

その表情を受けとめる、李範。

心が、痛む━━━━━━
和貞が、本気で心配してくれてるのがわかるから。

それでも、ここから離れるわけにはいかない。

「カメも一緒じゃないと、帰らねぇよ。
…………傷つけることになっても、俺はカメを失いたくない」


李範と和貞。
お互い鋭い視線で、睨み合っていた。

そこに━━━━ピピピ……と、李範のスマホの着信音が鳴り響いた。

李範が確認すると………

“夏菜”の文字。

李範は、慌てたように通話ボタンをタップした。
「もしもし!?カメ!?」

『あ…りーくん…
い、今、大丈夫?
お仕事中?』
恐る恐る聞いてくる夏菜に、李範はできる限り優しく言った。

「大丈夫だよ」

『今から……会いに行ってもいい?』

「え?カメ…
カメ、今俺━━━━━」
『ごめんね、りーくん。
私、バカだから、自分でも知らない内にりーくんを傷つけたんだよね?
でもね!
私は、りーくんが大好き!
りーくんじゃないきゃ、私は幸せになれないの!
だから、会いたいの!
ワガママで、ごめんなさい。
これからも、りーくんを傷つけることがあったとしても、りーくんと一緒じゃなきゃ幸せじゃないから、私、りーくんを傷つけないように頑張るから、今からホテルに行くね』

「いや、違うんだ、カメ!」
そう言った李範は、スマホを持ったまま大きく声を張り上げた。


「カメ!!何処にいる!!?」


すると、奥のドアがバン!と開いた。
慌てたように、夏菜が出てきた。
「りーくん!!?」

その姿を見た、李範。

溢れるような愛しさが込み上がった。
夏菜の元へ駆けて、抱き締めた李範。
そのまま力の限り、抱き締める。


カメが好きだ。
どうしようもなく、好きで堪らない。
もう放さない。


先程のグチグチした想いが嘘のように、そんな想いに支配されていた。

「━━━━りーく…苦し…い、よ……
離し…て……」


「は?ダメだ。もう、放さねぇよ……!」
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