強烈な旦那様♡おバカなカメ
バイトと嫉妬
「りーくん」

季節は夏にさしかかり、暑くなってきた頃。
自宅で昼食の冷やし中華を食べていた、李範と夏菜。
夏菜が、李範に言う。

「ん?」
「相談があるの」

「何だ」

「晶子ちゃんのこと、覚えてる?」
「ん?あー、同窓会で再会したカメのダチ?」

「うん。
その晶子ちゃんに、アルバイトを誘われたの」

「は?バイト?」

「うん。かき氷屋さんの短期のバイト」

「………」

「ダメ?」

「ダメ」

「えーどうして?」

「ちなみに、何処?場所」

「◯◯のショッピングモールのフードコート」

「そう。
でも、ダメだ」

「う…だから、どうして?」

「危ないから。
心配で俺は、自分の仕事が手につかなくなる。
だいたい、できんの?仕事」
「で、できるよ?」
目が泳ぐ夏菜。

「やめとけよ。カメ、トロいだろ?」

「晶子ちゃんもいるし、大丈夫だよ!
お願い、りーくん。
夏の間だけの、短期だから」

「………」
拝むように懇願してくる夏菜を見つめる、李範。

「夏だけ!」

「………はぁ…わかった」

「やった!」



初出勤の朝。
早朝から夏菜は、バタバタしていた。

「カメ」
「あ、りーくんおはよう!」
李範が起きてくる。

「カメ、何時に起きた?」
「ん?4時」

「………」
(そのわりには、朝飯できてねぇし…)

「りーくん待ってね!今から朝御飯作るから」

(今から作るのかよ…!?)
「俺も手伝う」
「ありがとう!」


そして━━━━━━
「カメ、職場まで送る」
「いいの!?ありがとう!」

車に乗り、職場まで走らせる。
その間、助手席に座る夏菜は緊張で身を固くしていた。

李範は前を向いたまま、夏菜の頭に手を乗せる。
「え?りーくん?」

「大丈夫だ。
ダチもいるんだろ?
緊張すると、余計にトロくなる。
何かあったら、すぐに行くから」
「りーくん…ありがとう!
頑張る!」

拳を握る夏菜に、李範は微笑んだ。


「━━━━じゃあ、また帰り迎えに行くから。
ここで待ってろよ」

「わかった!ありがとう、りーくん」

車を降りた夏菜は、パタパタと中に入っていった。
それを確認し、李範も仕事のため自宅マンションに帰ったのだった。
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