社長は身代わり婚約者を溺愛する
「えっ……」

これもまずい。芹香はグイグイ人に話しかけるタイプ。

お淑やかなタイプだって思われていたら、芹香と印象が違ってしまう。

「あのー、このお見合いの事。父に話しますか?」

「いえ、結果だけお伝えしようと思っています。」

「それって……黙っておいてくれないでしょうか。」

信一郎さんは、首を傾げる。

「いちいち、父に干渉されたくないんです。」

「そうですか。そうですよね、芹香さんも自立された大人の女性ですし。」

よかった。

今の芹香っぽかった。


それにしても、信一郎さん。とても素敵な人。

物腰は柔らかいし、私の反応も気にしてくれている。

自分勝手なお坊ちゃまとは、違うみたい。


「信一郎さん。逆に質問してもいいですか?」

「ええ、どうぞ。」

信一郎さん程の素敵な人が、何でお見合いなんかしたのか。

とても気になった。
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