社長は身代わり婚約者を溺愛する
「どうして、今回お見合いを?」

「そうですね。」

信一郎さんは、考えている。

もしかして、相手が芹香だったから?

「あっ、もし答えにくい事でしたら……」

「いえ。理由はいくつかありまして、一つは仕事が一段落したからでしょうか。」

「社長さんですものね。お仕事、大変ですよね。」

芹香だったら、持ち前の明るさで、信一郎さんを支えてあげられそう。


「僕は35になるんですが、今まで仕事一筋で恋愛という恋愛は、してこなかった。だから、お見合いをして、そろそろ身を固めようかなと。」

「そうですか。」

結婚。そうだよね。

お見合いって言ったら、結婚も付いて回るよね。

「後は、率直に社長令嬢って、どんな人なのか興味ありましてね。」

「社長令嬢……」

息をゴクンと飲み込んだ。

私、上手くご期待に添えられているかな。

「今日、来てよかったと思っています。芹香さんのような、素敵な人に出会えて。」

私は、ふと信一郎の方を見た。
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