社長は身代わり婚約者を溺愛する
すると信一郎さんは、私の肩をポンと叩いた。

「気にしないで下さい。悪いようにはしません。」

「……はい。」

この調子だったら、信一郎さんにお見合い断られるかもしれない。

でもよく考えて、礼奈。

当然の結果じゃない。

私は芹香じゃないんだし。

信一郎さんの目にも、魅力的には映っていないはずよ。


「逆に、芹香さんはどうでしたか?」

「私は……」

そのまま信一郎さんを見つめてしまった。

また、会いたい。

このままで、終わらせたくない。

「私は、信一郎さんをとても素敵な方だなって、思いました。」

「それは有難う。」

私ははにかみながら、うつむいた。


「僕も芹香さんの事、素敵な人だと思っています。どうでしょう。お互い気に入っているのであれば。」

「はい……」

顔を上げると、信一郎さんは私の顔を覗き込んだ。
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