社長は身代わり婚約者を溺愛する
「お見合いを機に、このまま結婚すると言うのは。」

「えっ……」

見つめ合って、時が止まったような気がした。


私が信一郎さんと、結婚する。

そんな奇跡があって、いいのだろうか。


「芹香さん。僕と、結婚……」

その時、私はハッとした。

そうよ。信一郎さんは、私を芹香だと思っている。

「結婚は、まだ早すぎると思います。」

「えっ?芹香さん?」

「私、今まで彼氏がいた事がなくて。だからまずは、恋愛したいんです。」

すると信一郎さんが、クスッと笑った。

私が必死過ぎたのかな。


「ちゃんと恋愛して結婚したい。いいでしょう。」

「有難うございます。」

私は頭を下げて、ふと思った。

「これって……付き合う事になったんですか?」

その瞬間、信一郎さんに片手で抱き寄せられた。
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