社長は身代わり婚約者を溺愛する

第3話 ご令嬢

そしてまた、信一郎さんから連絡が来て、美術館に行くのは、来週の日曜日になった。

「ところで、何を着て行こう。」

私は自分のクローゼットを、覗き込んだ。

カジュアルな服装ばかりで、女の子らしい服なんて、一つもない。


「これは、新しい服買わなきゃ。」

私は財布の中身を見た。

「うん、まだある。」

私は財布をバッグの中に入れた。


「お母さん、夕食の買い出し、行ってくるよ。」

「いつも有難うね。」

お母さんはメモに、今日買うリストを書き、お金を私に渡した。

「あと、スーパーじゃなくてモールに行ってくるから、少し遅くなるかもしれない。」

「そう。気を付けて行ってくるのよ。」

基本、お母さんは私の言う事に、口出ししない。

その分、私を信じてくれているんじゃないかと思う。


私は自転車を漕ぐと、いつものスーパーよりも遠い、ショッピングモールへと向かった。

女の子らしい服装。

という事は、スカートか。

何年振りだろう。スカートを履くのは。
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