社長は身代わり婚約者を溺愛する
私はショッピングモールに着くと、いつも服を買っている店に行った。

あった。スカートの類。

私は迷わずにロングスカートを手に取った。


その時、隣の二人組の女の子達が、話しているのが聞こえた。

「今流行は、マーメイドラインだよ。」

「下がフレアになっているモノね。私、一つ買おうかな。」

私は横目でチラ見した。

確かに、下がフワッと広がっていて、可愛い。

でも、私に似合う?


私は、近くの鏡を見た。

スタイルだって、良くない。

髪だって、芹香みたいに長くないし、巻いてもいない。

そう、芹香だったら、マーメイドスカートも似合うのに。

そう思うと、グッと手を握った。


「芹香だったら……」

そうなんだ。信一郎さんが会うのは、私であって私じゃない。

芹香の代わりなんだ。

芹香だったら、絶対マーメイドスカート履くはず。

私は、女の子達が去った後、マーメイドスカートを手に取った。
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