社長は身代わり婚約者を溺愛する
どれがいいかな。

芹香が着そうなスカート。

彼女だったら、地味な色は履かないだろう。

芹香だったら。

私の頭の中は、芹香でいっぱいになった。


「はぁー。」

それだけでも疲れた。

「そうだ。信一郎さんは、お淑やかな方が好きなんだよね。」

私は黒色のスカートを手に取った。

この色だったら、お淑やかに見えるかも。

値段も4,000円。

買えない訳じゃないし、安っぽくもない。

「決めた。」

私はそのスカートを持って、レジに向かった。


「試着はされますか?」

「試着……」

もし、当日履いてみていまいちだったら、取り返しがつかない。

「はい、試着してもいいですか?」

いつもは試着なんて、しないのに。
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