社長は身代わり婚約者を溺愛する
店員さんに案内されて、試着室でスカートを履いた。

でも、トップスがカジュアルだから、お嬢様には見えない。

「如何でした?」

私はスカートを脱ぎ、試着室を出た。

ここは、店員さんの力を借りよう。

「あの……お嬢様風に見えるトップスって、ありますか?」

「お嬢様風……少しお待ちくださいね。」

そう言って店員さんが持って来てくれたのは、白の袖にフリルが付いたモノだった。

「これでしたら、そのスカートにも似合いますよ。」

「じゃあ、それとこのスカートを下さい。」

「有難うございます。」


間違いなく予算オーバー。

でも、今度のデートも、失敗する訳にはいかない。

私は店員さんから服が入った袋を受け取ると、心が躍った。

これで私もお嬢様に見える。

何故かそんな自信が、私の心の中に宿った。


「お帰りなさい。」

いつの間にか、夕食の買い出しも済ませ、家に帰っていた。

「何、服買いに行ってたの?」

「……うん。」
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