社長は身代わり婚約者を溺愛する
「どうです?」

信一郎さんは、私の顔を覗き込んだ。

「ええ。どれも素晴らしいモノばかりで、楽しいです。」

「それはよかった。」


ふと信一郎さんの横顔を見た。

美術館にお金を寄付しているだなんて、彼の家は本当にお金持ちなんだ。

それこそ芹香の家と同等。

ううん、それ以上の家なのかもしれない。


「どうしました?芹香さん。」

「いえ、何でも。」

私が次の絵に行くと、信一郎さんが付いてきた。

「僕は何でも話してくれた方がいいなぁ。」

信一郎さんを見ると、真剣な目をまた見る事になった。

「……信一郎さんの家の事です。」

「僕の家が何だって?」

「お金持ちで、羨ましいなぁって。」

すると信一郎さんは、クスッと笑った。

「芹香さんの家も、資産家じゃないですか。」
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