社長は身代わり婚約者を溺愛する
「そっか。そうだよね。」

今更芹香に、興味を持たれても困る。

私は間違った情報を、与える事にした。


「うーん……ちょっと小太りだったかな。」

「ええ?御曹司なのに?やばいじゃん、それ。」

「後は、やっぱり我儘だったかな。」

「そっか。会わなくてよかったかな。」

「うん。よかったと思うよ。」

芹香は笑っていたけれど、こんな感じかな。


「ねえ、礼奈。ちょっとはときめかなかったの?」

「えっ!」

ドキッとした。

信一郎さんにドキドキしたのは、本当の事だったから。

「どうして?」

「だって御曹司だよ?上手く行けば玉の輿じゃん。」

芹香は、期待の眼で見ていた。

「うん、少しは期待したかな。」

私は誤魔化すように、ジュースを飲んだ。

「期待外れって事か。」

「そうだね。」
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