社長は身代わり婚約者を溺愛する
すると芹香が、話題を変えた。

「ところで最近。礼奈、綺麗になったんじゃない?」

「えっ?」

思わず頬に手を当ててしまった。

「久しぶりに会ったけれど、びっくりしたよ。」

「そ、そうかな。」


女は恋をすると、綺麗になるって言うけれど、本当なのかな。

「何?好きな人でもできた?」

私は返事をせずに、ジュースを飲んだ。

「教えてよ。礼奈。」

「芹香だって、好きな人いるけど、教えてくれないじゃん。」

「教えるよ、礼奈だったら。」


「じゃあ、どんな人?」

芹香は頬杖をついて、楽しそうに考えている。

「これ、言っていいのかな。宅配便してる人なんだ。」

「えっ?一般の人?」

「何それ。私が好きになるのに、そういう身分とか、関係ないでしょ。」

芹香はちょっと不機嫌になった。

「ごめん。でも、もっとお金持ちの人を選ぶと思っていたから。」
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