社長は身代わり婚約者を溺愛する
確かにそれは、勝手な私の思い込みなのかもしれない。

「きっかけは?」

「宅配便届けに来て、たまたま私が出て、意気投合してって感じ?」

「付き合うの?」

「ふふふ。たぶん。」

芹香は嬉しそうだ。

人の幸せそうな笑顔を見ると、自分も幸せに感じるのは、どうしてなんだろう。


「早く告白しちゃいなよ。」

私は芹香を突っついた。

「ええ?私から言うの?そう言うのは、男の人から言うんじゃないの?」

「今は、そう言うの男とか女とか、関係ないよ。」

芹香が告白するだなんて、想像つかないけれど、本人が好きなんだから仕方ない。


「ちょっと、私の話ばかりじゃなくて、礼奈の話も聞かせてよ。」

「私?私はね。」

釣られて言おうとして、ハッとした。

「どうしたの?」

「……ううん。普通の人だよ。」

「普通じゃ、分かんないじゃん。何の仕事している人なの?」

私の頭の中に、信一郎さんの顔が浮かんだ。
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