社長は身代わり婚約者を溺愛する
こうなったら、お母さんにはデートだって思われてもいい。

お母さんは、お父さんに余計な事を言わないと思うから。


駅の改札口で、信一郎さんと待ち合わせをした。

改札を出ると、信一郎さんが手を挙げた。

「お待たせしてごめんなさい。」

「ううん。待ってないよ。」

相変わらず紳士な信一郎さん。

私には、いつも眩しく見える。

「行こうか。」

「はい。」

信一郎さんと並んで歩くと、自分がお嬢様に見えて嬉しい。


「今日は、服装カジュアルなんだね。」

「こういう服装、ダメですか?」

「ううん。ギャップがあって、面白い。」

信一郎さんも気に入ってくれたみたいだし、よかったと思った。

少しずつ自分を見せていけば、やがて私自身を気に入ってくれるかもしれない。

そんな期待感が生まれた。


水族館に着いて、信一郎さんはチケットを受付に渡した。

すると受付の人が驚いている。

「大丈夫?受付できる?」
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