社長は身代わり婚約者を溺愛する
温かい。

この温もりを、ずっと離さずにいたい。


「そうだ。イルカのショーが始まるって。」

「ええ⁉見たい!」

「その意気、その意気!」

私と信一郎さんは、ウキウキしてイルカのショーを見に向かった。

「前の席に行こう。」

信一郎さんは、私を引き連れて、水槽に向かって行く。

「でも、水しぶきがかかったら……」

「それも楽しいでしょ。」

信一郎さん、何だかやんちゃな感じがする。

そういう男の人って、いいなぁ。

いいお父さんになれそう。


『では、イルカのショーを始めます!』

アナウンスが流れ、イルカが水面を泳いでいく。

次々と技を繰り出し、周囲からは歓声があがった。

「うわー!」

信一郎さん、子供みたいに騒いでいる。

「ん?何?」

「ううん。信一郎さん、とっても楽しそう。」
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