社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして水族館の外に出た。

「この後、どうする?」

「えっ……」

もうこれで終わり?

まだ夕方だって言うのに、まだ信一郎さんと一緒にいたい。


「そうだ。お茶。お茶しませんか?」

てっきりいいねって言って貰えると思ったら、信一郎さんは渋っている。

「あっ、もしかしてこの後、用事でもありました?」

「ううん。」

じゃあなぜ、困った顔をしているの?

はっ!もしかして、もう私と一緒にいたくないとか!

うわー!だとしたら、信一郎さんと会うのは、これが最後⁉

そんなの嫌だよ!


「今日は、何時まで一緒にいられる?芹香。」

「えっと、18時くらいかな。」

「じゃあ……」

信一郎さんは、私の背中をそっと押した。

「ちょっと早いけれど、夕食にしようか。」

私はふと信一郎さんを見た。

そこには、涼しい顔をした信一郎さんがいて、こうして女性を誘う事にも、慣れているんだなと思った。
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