社長は身代わり婚約者を溺愛する
「ん?」

信一郎さんに見つめられ、ううんと頭を横に振った。

まだ、信一郎さんと一緒にいられる。

うん。嬉しくてたまらない。


「芹香、何、食べる?」

「うーんとね。イタリアンとかがいいな。」

「よし!美味しいお店、知っているんだ。そこへ行こう。」

「うん!」

私達はタクシーに乗って、街に向かって走り出した。

あまり見つめると失礼だと思うんだけど、あまりにも信一郎さんがカッコいいから、ふとした時に見てしまう。

すると、信一郎さんと目が合ってしまった。


「水族館、楽しかった?」

「うん。楽しかった。イルカのショーも見られたし。」

そして私は、さっき買って貰ったキーホルダーを取り出した。

「これも、買って貰ったし。」

私たぶん、これを見る度に、信一郎さんの事を思い出す。

「……これ、ずっと大切にしますね。」

すると信一郎さんの顔が近づいてきた。

「信一……」

その瞬間、唇が重なった。
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