社長は身代わり婚約者を溺愛する
唇が離れた後も、信一郎さんと見つめ合った。

こうしていると分かる。

信一郎さんと、想いは通じ合っているんだって。


「着いたよ。」

タクシーを降り、お店の前に立った。

「お洒落。」

豪華な飾りが施されているお店。

何だかワクワクしてきた。

「いいだろう?料理も美味しいよ、ここ。」

「期待してます。」


お店の中に入り、私達は窓側の席を用意された。

「何飲む?」

「ワイン……っていきたいところだけど、私飲めないから。カシスオレンジでいい。」

「カクテルね。俺は悪いけれど、ワインのボトルを入れさせて貰うよ。」

「どうぞ。」

ワインを飲めるなんて、大人だな。

運ばれてきたカシスオレンジも、少しだけ赤みが付いているけれど、ワインのボルドー色には敵わない。

「乾杯。」

信一郎さんとグラスを合わせて、お酒を飲めるなんて贅沢な気分がした。

「芹香とこうして飲むのは、初めてだね。」
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