社長は身代わり婚約者を溺愛する
こういう事に慣れるのは、よくないと分かりつつも、家の為だと言い聞かせる。

「そうだ。礼奈、話があるの。私の部屋に来て。」

「うん、いいけど。」

いつもお世話になっている芹香に言われたら、断れない。

私は、執事の人からお金を受け取ると、芹香と一緒に2階への階段を登った。


芹香の部屋は、2階の中央にあった。

「ここよ。」

芹香が部屋のドアを開けると、これぞお嬢様の部屋という豪華さが広がる。

芹香の部屋に入るのは、初めてじゃないけれど、年々豪華さが増して行っているような気がした。

「ここに座って。」

「うん。」

可愛いピンクの椅子。

私には、程遠い世界。

そして芹香は、向かい側の席に座った。


「あのね、礼奈にお願いがあるの。」

「お願い?私に?」

何だろうと思った。

何でも願いが叶う芹香が、私にお願い事をするなんて。
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