海色の世界を、君のとなりで。
「男子も惜敗だったみたい。やっぱり全国の壁は厚いね」
可奈が悔しそうに呟く。
今年は男女揃って初戦敗退。
来年こそはどちらも勝ち進みたい。
いや、絶対に勝ち進む。
「……あ」
ちょうど会場から出てきた星野と視線が絡む。
ぞろぞろと待機場所に戻っていく集団の一人に何かを告げた星野は、わたしたちのもとへ走ってきた。
「おつかれ」
「お、おつかれ」
やばい。
きっとまだ目が腫れている。
隠すように俯くと、「前向けよ」と星野の声が降ってきた。
恐るおそる顔を上げる。
「どっちも負けたな」
「……うん」
惜敗だったにも関わらず涼しい顔をしている星野。
あんなにバスケットに真剣だったのに、悔しいとか悲しいとか、そういう感情はないのだろうか。
「全力で勝負したんだから、後悔なんてねえよ」
わたしの表情から読み取ったのか、星野がそう言って苦笑した。