海色の世界を、君のとなりで。
「星野はキャプテンじゃないの?」
訊ねると、星野は冗談じゃないと言ったように渋い顔をして首を振った。
「俺は誰かさんみたいにくそ真面目じゃねえんだ。そんな重荷背負えねえよ」
「……そう?」
「それに、俺はキャプテンじゃなくてエースなんだよ。四番を背負う面じゃない」
ふっと笑った星野は、瞳を流してわたしを見つめた。
「頑張れよ……って言いたいところだけど、あまり頑張りすぎるなよ。何かあったら言え、俺がいる」
トクン、と確かに刻まれる音。
「分かった。ありがとう、星野」
微笑むと、一瞬動きを止めた星野は、それからぎこちなく笑みを返した。