海色の世界を、君のとなりで。
明るい、何もかも。
暗い部屋に急にあかりがついたとき、しばらく眩しすぎて目を開けていられないように。
暗い世界に慣れてしまったわたしにとって、周りの世界は明るすぎる。
眩しすぎて、目を開けていられないほどに。
きっと今日の出来事だって、星野の中ではほんの些細なことにすぎなくて、この先思い返して語り合うことなんてないだろう。
それは分かっているのに、わたしの中でなかったことにできるかと問われたら、その答えは否だ。
かすかな胸の高鳴りも、たしかな感動も、ついしてしまった拒絶も、小さく生まれた哀しみも。
すべてわたしの心の中に残って、蓄積されていく。
蓋のない箱の中に、ゆっくりと、ゆっくりと。