海色の世界を、君のとなりで。
「……うーん。わたしは特に、どこでも」
そう言って、班のメンバーを見渡す。
可奈、香山くん、そして────星野。
良いのか悪いのか分からないメンツだ。
それでも、まったく知らない人たちじゃなかっただけ良かったと思うべきなのだろう。
「みんな、行きたいところある?」
行事ごとは毎度のことながら、自然な流れで班長になってしまったわたし。
問いかけてみると、可奈は考え込み、香山くんは柔らかく微笑み、星野は瞑目してしまった。
「僕はみんなに合わせるよ」
笑顔のまま、香山くんが言った。
わたしは内心、だろうな、と思う。
香山くんは、そんな人だ。
あまり個人の考えを主張しない控えめな性格で、いつも笑みを絶やさないイメージ。
それを長所と捉えるか短所と捉えるかは相手次第だ。
だからこそ、夏祭りの時の可奈への勢いには驚いた。
なんというか……漢を感じた、というか。
どういう繋がりなのかは分からないけれど、香山くんは星野と謎に仲が良い。
仲が良いというか、星野があまり人と群れる性格ではないため、唯一話しているところを見る相手、と言った方が正しいかもしれない。
夏祭りの時も一緒に来ていたし、星野も香山くんのやや強引な行動にヤレヤレといった様子で、あまり迷惑には思ってなさそうだった。