海色の世界を、君のとなりで。

「……なんであんなやる気がないプレーするんだよ」

 やっぱり、見ていたんだ。気付かれていたんだ。

 当たってほしくない予感が当たり、どんよりと気分が落ち込む。

 答えたくなくて口を結んだまま俯き、しばらく黙っていると、後ろから苛立たしげな舌打ちが聞こえた。


「お前、相手に失礼だと思わないのか。選手として恥ずかしくないのかよ」


 無視を決め込むわたしに、星野は容赦なく言葉をぶつけてきた。

 腹立たしく思ったけれど、下手に言い返すよりは黙っている方がずっといい。
 そうした方が、人を傷付けることがないから。

 いくら悪いことを思っても、負の感情を抱いても、それを表に出さなければ【性格がいい】と評してもらえる。

 たまに、「あの人は本当に性格がいい」だとか、「〇〇ちゃんはああ見えて性格がものすごく悪い」だとかいう話を耳にすることがあるけれど、性格が良い悪いの判断基準は【表に出すか出さないか】だとわたしは思っている。
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