海色の世界を、君のとなりで。

窓から入ってきた風が、髪の毛を揺らして通り過ぎてゆく。

カチ、カチと時計の秒針の音だけが響いて、それ以外の時が止まったような感覚に包まれる。


「青……春」


ずっとずっと、遠い言葉だと思っていた。

わたしにはまったく関係のない話だと思っていた。

高校生なんて、青春真っ只中と言っても過言ではないくらい、青春という言葉と結び付けられることが多くて。


「青春って……なんですか」


分からない。

分かるわけない。

今これが青春だ、なんて明確に分かるわけない。

青春の定義がない。


「難しい質問ね……」


首を捻った先生は、「強いて言うなら」と言葉を続ける。
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