海色の世界を、君のとなりで。
「過ぎ去ったときにふと思い出すもの……じゃないかしら」
「……えっ?」
「大人になって振り返ってみたときに、キラキラしてたなあ、とか。楽しかったなあ、とか。そんなことをぼんやり思い浮かべて、ちょっと嬉しくなったりときめいたり、悲しくなったり切なくなったり。そんなものが、青春……なのかもしれないわね」
見つめると、先生は「ちょっとポエムっぽかったかしら、恥ずかしい」と頬を赤く染めた。
青春を語る先生に重なるように、少し幼い高校生時代の先生の姿が見えたような気がした。
「栞ちゃんが自分自身で気持ちを伝えないって決めているのなら、その意思に素直に従ったほうがいいと思う。でもふとした瞬間に、想いが溢れることもある。そのとき、自分を責めたり後悔ばかりしないで。進む道に間違いはない。進んだ道がすべて必然だから」
────進んだ道が、すべて必然。
ストン、とまっすぐに胸に届く。