海色の世界を、君のとなりで。

頬を赤く染めて俯く可奈。


女のわたしが見ても、可愛いと思うのだ。


数々の男子が惚れるのも分かる。


そしてそこには星野も含まれているのだろう。



空を見上げたまま、「栞ちゃん」と可奈が名前を呼ぶ。


白い息がのぼっていくのを見つめていると、やや長めの沈黙が降りてくる。



「……可、奈?」



名前を呼んでみると、ふ、とわずかな吐息の後、可奈はまたわたしの方を向いた。


少しでも近付けば鼻先が触れ合ってしまうくらいの距離で、色素の薄い大きな瞳が、わたしをまっすぐに捉えている。


白い雪の上にのっていた手を握られる。


手袋越しに伝わってくるのは、冷たさだった。



それは果たして雪の冷たさなのか、それとも。
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