海色の世界を、君のとなりで。
「……やっぱ、さみしいな」
つい心の声が洩れてしまう。
いつもとなりにいてくれる存在が、最近わたしのそばにはない。
"あの日"から、可奈はわたしを避けるようになった。
まだ何も言っていないのに、"言えていない"のに、強く拒絶されていて目を合わせることすらできていない。
気を遣っているのだろうか。
わたしが可奈のことを嫌いになったとでも思っているのだろうか。
冷たい空気に、ほうっとあたたかい息を吐き出す。
暗い空は街ごと包み隠してしまうように広がっている。
「……会いたい」
怖いよね。嫌だよね。
可奈がわたしを避ける理由のいちばんはきっとこれだ。
わたしの口から、拒絶の言葉を聞くのが怖い。
しかも相手は同性で、親友なのだから。
可奈が抱える怖さは、わたしじゃ到底理解しきることはできない。
それは、"告白する側"に立った者でないと、わかることなどできないのだろう。
それでもわたしは、可奈に会いたい。
可奈にとっていい返事をしてあげられてもあげられなくても、今のままでいたい、そばにいたいだなんて。
そんなのは、わたしの勝手な我儘だろうか。