海色の世界を、君のとなりで。

そう思うと同時に、先生の言葉が蘇ってくる。


『成瀬には期待してるんだ』


期待?……冗談じゃない。

思い返すたび反吐が出る。


わたしは何でも屋じゃない。

これから書かなければならない量を考えただけでも頭痛がしてくるようだ。

それも、たった一人で、たった一日で。


完全に不可能ではない量ではあるものの、随分と時間がかかってしまうことは目に見えていた。

頑張れば、きっと今日中に終わる。

帰ってから取りかかっても、頑張り次第で二時間あれば終わるだろう。

それでも、自分の時間を彼らのために使うのは、なんだか癪に触るものだ。


どうして、と思わずにはいられない。


悪いのは明らかに男子なのに、どうして先生は彼らには何も言わず、わたしに押し付けるのだろう。

責任は彼らにあって、わたしにはないはずなのに。


……リーダーだから。


そんな理由だけで、全ての責任をわたしが負わなければならない。

それが、とてつもなく悔しかった。
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