海色の世界を、君のとなりで。
確かに世の中は優れた人が役割を担うことが多い。
例えば、走るのが速い人が選抜リレーに選ばれることだって、ピアノが弾ける子がクラス合唱で伴奏者になることだって、そのうちの一つだと言える。
だから、ごく当然な流れだった。
わたしが全てを担うのは、至極当たり前のことなのだ。
そう、何度も思おうとした。
けれど、無理だった。
だって、選抜リレーに選ばれた選手は、たとえ一位になれなくとも褒め称えられて、労いの言葉をかけてもらえる。
伴奏者だって、沢山の人から声をかけてもらったり、尊敬の眼差しを向けてもらえる。
でも、リーダーは?
こうして、『真面目だから』『しっかりしているから』という理由だけで重荷を背負わされるわたしは?
いったい何の利益を得られるのだろう。