海色の世界を、君のとなりで。
……やってしまった。
さあっと血の気が引き、何かが崩れ落ちていくような予感がする。
結局わたしは何も変われていなくて、自分が蛙化現象で人を傷付けると知っておきながら、どうして自分の道を勝手に進もうとするのだろう。
その言葉は、いちばん言ってはいけない言葉だったのに。
あんなに心に誓ったはずだったのに。
ずっとずっと堪えて、自分の気持ちに気づかないふりをして、それでも想いは生まれてしまって。
それならせめて伝えることなく、この命が尽きるまで貫こうと思っていたのに。
全然、だめだった。
伝えたところで何になるのだろう。
わたしはいったい何がしたいのだろう。
星野が好きなのはきっと可奈だから、どうせ伝えても振られてしまう。
もし奇跡が起きて……なんて自惚れたとして、仮にも星野がわたしを見てくれる日が来たとしても、わたしは振り向くことができないくせに。
どちらにしろ、デメリットしかない告白だ。
そんな自分自身の気持ちがわからないくせに、何を勝手に言い放って、それで。
「……返事は、しないで。おねがい…」
なんて理不尽なことを言っているのだろう。
伝えるだけで満足して、こんなの自分勝手すぎるじゃないか。
自嘲的な笑いが込み上げてきた。
もう、笑うしかなかった。
いっそのこと、ここで思いきり振られてしまえばいい。
間違いだって、戒めてくれればいい。
当然の報いだと、吐き捨てられてしまえばいい。
目を閉じて、星野の口から続く言葉を待つ。
きっと耳を塞ぎたくなるような言葉だろう。
それでもわたしは聞かなければならない。
大好きな彼からの、拒絶の言葉を。