海色の世界を、君のとなりで。

「分かった」


 それなのに、星野の口から出た言葉は、了承を示す言葉だった。

 事情を知らないのに、そんなことを柔らかい声で言ってのけるから。

 優しい瞳で、わたしを見つめてくるから。



 彼なら、きっとわたしを救ってくれる。

 彼なら────彼となら、何かが変わる気がした。そんな根拠のない確信があった。



───…だって、星野だから。



 この真っ暗闇で輝くたったひとつの海色の光、晴れ渡る水縹色の空を見せてくれる人。


 交わした約束を、必ず果たしてくれる人。


 わたしの世界にあかりを灯してくれる、特別な人。

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