海色の世界を、君のとなりで。
「蛙化現象って言葉、聞いたこと……ある?」
「言葉は、知ってる」
「……ほんとに好きな人と出会えたら、変わることもあるんだって。でも、その人といつ出会うかなんて分からないでしょう……?」
「まあな」
雨音でかき消されてしまう声を懸命に聞き取ろうとしてくれる星野の優しさに、また涙があふれた。
出会ったときは、なんて横柄で自信家なやつなんだろうと思った。
思ったことはすぐに口に出すし、俺様な態度で何度も嫌な思いだってさせられた。
それでも、居心地がよかった。
彼のとなりは、どの場所よりも自分が自分らしくいられた。星野が星野だったから、わたしはわたしでいられたんだ。
けれど、募る想いがあふれたら、それももう終わり。