海色の世界を、君のとなりで。
ただ、ひとつだけ違うところがあるとすれば。
昔から、バスケには興味があったということ。
それはきっと、母の影響。
『しおりちゃん。すごいね。かっこいいね』
テレビを食い入るように見つめるわたしに、柔らかな笑みを浮かべる母がいたから────。
「お前は?なんのためにバスケをやってんだよ」
そんな星野の言葉に、意識が戻された。
質問を頭の中で反芻する。
なんのため。
……なんのため?
そう訊かれると、上手く答えることができない。
むしろわたしが訊きたいくらいだ。
────わたしは、なんのためにバスケをやっているのだろう。
黙り込むわたしに、星野がいつものように、ふ、と息を吐いた。
「単純に好きだから、とかじゃねえのかよ」
「……分からない」
「あ?」
「好きかどうか、分からない」