海色の世界を、君のとなりで。

ただ、ひとつだけ違うところがあるとすれば。

昔から、バスケには興味があったということ。


それはきっと、母の影響。


『しおりちゃん。すごいね。かっこいいね』


テレビを食い入るように見つめるわたしに、柔らかな笑みを浮かべる母がいたから────。


「お前は?なんのためにバスケをやってんだよ」


そんな星野の言葉に、意識が戻された。

質問を頭の中で反芻する。


なんのため。

……なんのため?


そう訊かれると、上手く答えることができない。

むしろわたしが訊きたいくらいだ。


────わたしは、なんのためにバスケをやっているのだろう。


黙り込むわたしに、星野がいつものように、ふ、と息を吐いた。


「単純に好きだから、とかじゃねえのかよ」

「……分からない」

「あ?」

「好きかどうか、分からない」
< 48 / 323 >

この作品をシェア

pagetop