海色の世界を、君のとなりで。

けれど、返信がなかなかこなかったら不安にもなる。


わたしだって、可奈から返信が戻ってこなかったら、きっと不安になるだろう。


嫌われたと思ってしまうかもしれない。



……悪いこと、しちゃったな。



傷つけてしまったという罪悪感が心を支配する。


息を吐き出して、不安げに瞳を揺らす存在をぎゅっと抱きしめた。



「嫌うわけないでしょ。だって可奈は親友なんだから。でも、返信できなかったのはごめん。それは良くなかったと思う」



素直に謝罪すると、可奈は腕の中で「いいよ」と呟いた。


顔を上げた可奈は、とびきりの笑みを浮かべた。


花が開くように、ふんわりと。



「事故にあってたりしたらどうしようって、部活中ずっと不安だったんだ。でも、そんなことなくてよかった。私の思い過ごしで、本当によかった」



つくづくいい友達を持ったなと思う。


彼女と巡り会えたことを、神様にもっと感謝すべきだ。
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