海色の世界を、君のとなりで。

『……ほ、しの。ほしのっ────』


『お願い、どこにもいかないで……っ』



昨日の自分が、いったい何をしてしまったのか。


夜が明けて、日が昇って。


ようやく落ち着いて、あまりの羞恥でどうして良いかわからなくなる。



なんてこと、したんだろう。



勝手にしがみついて、名前を呼んで。


大号泣して、挙句の果てには「いかないで」だ。



いったい誰に人生最大の醜態を晒しているんだと、昨日の自分を殴り倒したい気分だ。



『言ったろ。俺はここにいる。お前の────栞のそばにいるよ』



芯のある強い声が、頭の上で響く。


顔に熱が集まっていく。


羞恥とはまた違う意味で。



きっと昨日は、お互いどうかしていたのだ。


そもそも、一緒に帰ることになったこと自体が、はじめから大きな間違いで。
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