海色の世界を、君のとなりで。

夏が終わる。


それはすなわち、負けるということ。



もうすぐやってくる夏の大会が、三年生の集大成、引退試合だ。


インターハイで勝ち進めなければ、先輩たちは引退する。


だから、こんな時期にスタメンのわたしが休んでいる暇などなかった。


そんなことは当たり前に分かっていた。



そしてそれはまた、星野も同じ。


でも、彼はきっと大丈夫だろう。


先輩からも、後輩からも、顧問の先生からも厚く信頼されているから。



「すみません」



俯くと、小さく舌打ちが聞こえたような気がした。



でもこれは、仕方のないこと。


休んだのはわたしが悪いし、先輩にどうこう言える立場じゃないのが後輩だ。



「ったく、ちゃんとしてよね」


「ま、成瀬ちゃんには期待してんだからさ」



うわべだけの言葉を言ってわたしの肩をポンと叩き、彼女たちは去っていった。


横に視線を遣ると、可奈が青白い顔をしてわたしを見ている。



「ごめん、栞ちゃん……」


「え?」



泣きそうな顔で、そんなことを洩らす可奈。



「どうしたの」


「守れなくて……」


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